- 少数精鋭の採用チームで年間50~60名の中途採用を担い、リソースが極度に不足
- エージェント依存の採用手法では、地方拠点の技術職など充足困難な求人が長期間未充足のまま発生
- 自社の魅力発信や関係構築が弱く、内定辞退率が高い(他社に人材が流出しがち)
- Alumy(タレントプールシステム)を導入し、自己都合退職者(以下、アルムナイ)との関係を維持・再雇用に活用
- 選考辞退者や自社に興味を持つ人材もプールに登録・ナーチャリングし、将来の候補者パイプラインを形成
- 導入コスト・運用工数がほぼゼロのため、少人数体制でも無理なく新たな採用チャネルを確保
- 元社員との接点構築により、必要なタイミングで即戦力として再雇用できる道を確保
- エージェントに頼らない独自プールで、採用コスト削減・選考期間短縮の可能性が拡大
- 多数の候補者がプールに登録し問い合わせも発生。年間を通じた継続的な候補者との関係構築が実現し、採用チャネルが拡大
日本板硝子株式会社は、自動車用ガラスや建築用ガラスなどを手掛ける世界的なガラスメーカーです。近年、新規事業拡大や世代交代の必要性から中途採用ニーズが高まり、年間50~60名規模のキャリア採用を行っています。しかし、実際に中途採用業務を担当する人事部採用チームはわずか3名という少数体制であり、採用リソースの逼迫が課題となっていました。また、地方工場の技術者など充足が難しいポジションの求人を常時オープンしている状況で、採用手法は人材紹介会社(エージェント)経由に偏りがちでした。そこで同社は、新たな採用チャネルとしてアルムナイ採用に注目し、Alumyを導入しました。今回は採用チーム グループリーダーの諸橋裕子さんに、導入の経緯やその効果について伺いました。
採用ニーズの急増と3名体制の苦悩 – リソース不足と長期未充足求人
ー導入前、御社が抱えていた採用上の課題について教えてください。
諸橋さん: 当時、中途採用の担当は私を含めて3名のみで、年間50~60名のキャリア採用を回していました。新規事業への投資が活発な高機能ガラス事業部門を中心に中途採用ニーズが急増し、求人も私が担当し始めた頃の20~30件から、一気に年間50件以上へと増えたんです。ところが人員増強は追いつかず、HRBPや現場部門の協力を得ながらも実質3名の少数精鋭で対応せざるを得ませんでした。結果、常に約50件の求人が未充足で積み上がり、新たな求人も継続的に追加される状態が続いていました。
特に苦戦したのは地方工場の技術者ポジションです。勤務地が地方になるだけで求職者の母数が減り、2年間充足しない求人もありました。一方、東京本社勤務のバックオフィス職などは採用しやすい傾向でしたが、それでも決まらない求人がなくならない状況でした。こうした難易度の高いポジションに対して、我々人事のリソース不足も相まって十分な母集団形成ができず、採用スピードが需要に追い付いていませんでした。
ーリソース不足の中で、どのように採用活動を工夫されていたのでしょうか。
諸橋さん: 基本的には人材紹介会社経由が中心でしたね。ダイレクトリクルーティングなど自社から直接声掛けする手法も模索しましたが、少人数ではとても手が回らず、実際にはほとんど活用できていませんでした。新しい採用サービスの提案を受けて試してみることもありましたが、導入・運用に工数がかかるものは成果を出す前に運用しきれないのが実情でした。結局、「難易度の高いポジションは何をしても難しい」という状況下、限られた時間はエージェントとの連携強化に充て、求人内容の理解促進やスカウト数の拡大に努めていました。
実際、当社の中途採用の9割以上はエージェント経由でしたし、自力で母集団形成するよりも効率的だと考えていました。ただ、その結果どうしても採用コストがかさみますし、一旦選考でご縁がなかった方との接点も持ち続けられないため、「もっと効率良く、かつ将来につながる採用の仕組みが必要だ」という思いは常にありました。

低コストで始められるアルムナイ活用 – Alumy導入を即決した理由
ーAlumy導入のきっかけと、その意思決定のプロセスを教えてください。
諸橋さん: 採用でお付き合いのあったリクルート社経由で「こんな新しいサービスがある」と声をかけていただいたのが始まりです。お話を伺う中で、退職者に着目したタレントプールというコンセプトが非常に面白いと感じました。これまで当社ではアルムナイの情報を体系的に管理できておらず、再雇用の機会も場当たり的でした。しかしアルムナイであれば当社のカルチャーを理解しており即戦力になりますし、何より採用コストが格段に下がります。人物評価についても新規の中途採用より確実です。「今まで手が回っていなかった領域をうまくカバーできるサービスだ」と直感し、詳しい説明を聞いたその場で導入を前向きに検討しました。
特に決め手になったのは導入コストがほとんどかからない点です。新しい採用手法は導入・運用にコストや工数が掛かりがちですが、Alumyは初期コストも低く、運用の工数も最小限だと伺いました。私たちのような少人数チームでも負担なく試せるなら、「とりあえずやってみよう」と思えましたね。社内の合意形成についても大きなハードルはありませんでした。以前より「退職者の再雇用」を検討し始めていたこともあり、Alumyを使うことで退職者との接点ができても、採用にあたっては通常の選考フローで適性を見極められるので、特に問題視されることはありませんでした。私自身が導入に強く賛成だったこともあり、現場から大きな反対なくスムーズに導入できました。

ー他の類似サービスとの比較検討はされましたか?
諸橋さん: 実はAlumyさんからご提案いただいて導入を決めた後に、他社のアルムナイサービスの営業連絡もいくつか頂いたんです。でも「もうAlumyを利用しています」とお伝えしてお断りしましたので、詳細な比較検討はしていません。それくらいタイミング良くご提案いただけたことと、サービス内容に十分納得できたことが大きかったですね。導入後もサポートが手厚く、特に不満も感じていないので、現時点ではAlumyを選んで正解だったと思っています。
プールの拡大と今後の展望 – 関係構築型採用チャネルで即戦力確保へ
ー導入後の運用や成果についてはいかがでしょうか。
諸橋さん: 導入当初はまずアルムナイ向けにシステムを公開しました。ただ、実際のところ、当社のアルムナイ数は多くないため、登録者数も限定的です。。そこでAlumyさんからの提案で、選考辞退者や当社に興味を持ってくださった方が登録できる「キャリア登録」フォームも設置しました。これによって、現在募集のない職種でも当社に関心のある人材をプールに溜めておけるようになったんです。
公開後は予想以上に多くの方にご登録いただき、「◯◯職の募集予定はありますか?」といったお問い合わせも増えています。現時点では採用決定には至っていないものの、確かな手応えとポテンシャルを感じています。
運用面の負担が少ないのもありがたいですね。社内向けには人事部内で「こういう取り組みを始めた」と共有した程度で、社員全体へ大々的に告知することはしていません。ただ当社の採用ページ上でAlumyの登録案内を掲載していますので、退職者も応募者も「見れば分かる」状態にはなっています。登録してくださった方々へはAlumy側で定期的に情報発信やコミュニケーションを行ってもらえるため、我々人事が手動でフォローする必要もありません。結果として、リソースに余裕のない当社でも問題なく運用できている状況です。今まで当社が接点を持てていなかった層にアプローチできるようになり、採用チャネルが確実に広がりました。ネガティブな想定外も特になく、デメリットは感じないですね。この先、実際に再雇用につながるケースが出てくることを楽しみにしています。
ーAlumy導入を検討している他社へのアドバイスやメッセージをお願いいたします。
諸橋さん: まずはとりあえず試してみたらいかがでしょうか、というのが率直な感想です。 導入や運用のハードルが低いので、リソースに限りがある人事部門でも十分扱えますし、仮にすぐ採用に直結しなくても持っておいて損はない施策だと思います。特に感じているメリットは、「一度ご縁がなかった人とも関係性を保てる」点です。選考途中までは良い感触だったものの、ご本人の都合で辞退された方やタイミングが合わず入社に至らなかった方って必ずいらっしゃいますよね。普通はそのまま接点が途切れてしまいますが、Alumy経由で登録していただければ将来タイミングが合ったときにアプローチできます。この仕組みを使えば長期的な視点で人材と繋がり続けられるので、社内の採用ストックを作る感覚に近いですね。コスト面でもランニングコストはほぼかかりませんし、登録者への情報発信などナーチャリング施策もAlumyの方で代行してくれるため、人事の手が取られないのも助かります。現状、大きな成果が出ていなくても将来の投資と割り切って続けられますし、当社も含め各社で事例が増えていけば「アルムナイ採用」がもっと一般的になるのではと期待しています。
ー今後、御社の採用全体で目指す姿や展望について教えてください。
諸橋さん: Alumyで築き始めたタレントプールは、引き続きじっくりと拡大させていきたいですね。現時点ではアルムナイ自体が少ないためプール規模は大きくありませんが、転職市場の流動性は今後ますます高まるでしょう。将来的にこの仕組みがきっと役に立つと信じていますし、コツコツとタレントプールの登録数を充実させていくつもりです。一方で、採用活動全般の課題として感じているのは自社の採用ブランディングです。同様の条件でオファーを出しても他社を選ばれてしまうケースがまだ多く、優秀な人材に「選ばれる会社」になることが今後のテーマだと考えています。せっかくAlumyで接点を増やしても、最後に選んでもらえなければ意味がありません。アルムナイ採用など新しいチャネルを活用しつつ、魅力発信や候補者体験の向上にも力を入れて、採用競争力を高めていきたいですね。
※本記事の内容は、取材時:株式会社リクルート(2026年4月以降:株式会社インディードリクルートパートナーズ)のものです。